いつも通り激甘です。
思う存分かゆくなるがいいよ。書いてるこっちもかゆい。
俺の名前は空沢光司。
それなりに名の知れた大学に通う、大学一年生だ。
綾葉が通常の1.3倍ぐらいはしゃぐクリスマス・イヴ。
夜舞月家でディナーを御馳走になり、今は綾葉の部屋で2人きり。
「んと、優しくしてね?」
「ああ。痛かったら言えよ」
期待のこもった目で見つめてくる綾葉にうなずき返し、動き始める。
「……あん、くすぐったい」
「少し我慢しててな」
「……んんっ」
悶える綾葉を軽く押さえて続行。
「ふうっ」
「ひゃああっ!い、息吹きかけないでよぅ」
「もうちょっと静かにできないか」
「だ、だって……声、出ちゃう」
「そういう妖しい言い方は禁止」
ただでさえ密着してるのに、これ以上意識すると色々まずい。
「声出しちゃダメ、動いちゃダメって……キツイよ」
「声出されると集中できないし、動くと危ないのはそっちだぞ」
「うぅ……イヂワル」
「人聞き悪いなあ。ならやめるか?」
「それはダメ。ゼッタイ」
「・・・そんなにいいもんかね」
「うん。へっへー、光司のひざまくらー」
「言ってろ。ほら、逆の耳」
「はーい」
ころん、と器用に膝の上で向きを変える。
「しっかし、耳掃除が必要なほどじゃないだろ」
「いいの。ふっ……光司にやってもらうのが、やん、大切なんだから」
「やりすぎると傷ついたりするから、頻繁にはやらない方がいいらしいけど」
「むぅ……んん。光司は嫌なの?」
この歳でむうとか言ってむくれるのが許されるのは綾葉ぐらいだろう。
子供っぽい仕草が似合う、とか言うと怒られるが。
「嫌だったらやらないっての」
「じゃあ文句言わない……っはあ」
綾葉の耳が綺麗で割と短時間で終わってしまう。
俺だって膝枕を堪能したくないわけじゃない。と思う。
「はい、終わり」
「うにぃ、こうじのおひざー」
頬擦りしてくる綾葉。反応に困るな、これ。
とりあえず髪でも撫でてみよう。
「あは、気持ちよくてこのまま寝ちゃいそう」
「別に寝てもいいぞ」
「うん……って、ダメダメ。今度はあたしがやる番」
まさか。
「ほら光司。ひ・ざ・ま・く・ら」
素早い動作で起き上がり、ぽむぽむと膝を叩く。
「いや、俺はいいって」
「照れない照れない。あたしと光司の仲でしょ?」
「う、む」
拒否しきれそうにないので、ミニスカートから伸びる生足に大人しく頭を乗せる。
いつもと違う体勢で見上げるのは新鮮だ。
っつーか、肌が恐ろしいほどに気持ちいい。
自信あるんだろうなあ。磨いてるんだろうなあ。俺の為に。なんてな。
たまには自信過剰になってもいいだろう。文句あるか?
……誰に語りかけてるんだろう俺は。
「頬擦りしたかったらいいよ?」
「積極的に遠慮させていただく」
男がやると単なる変態にしか見えない。
「動くのは危ないけど、いっぱい声出していいからね」
「できる限り我慢をさせていただく」
「へっへー。それじゃ、いくよ」
「……ぅぁ」
「ここ?この辺がいいの?」
「……っふう」
「きゃー!光司が色っぽいー!」
「耳の中に突っ込んだままはしゃぐな。怖いから」
―――ハイテンションな綾葉と共に、聖夜は地味に更けていく。
耳掃除はクリスマスプレゼントの一環らしいです。
普通に物もあげたものの、綾葉の独自理論により半強制的に。
「無理やりじゃないもん。ねー、光司」
「……ノーコメント」
と、大体察して下さいな。
「ま、綾葉が喜ぶなら別に」
そこまで。外までかゆいノリを持ち出すの禁止。