告白-であい-

何かすごい勢いで書き上がった。
短いのでここに載せときますね。




俺の名前は空沢光司。
そこそこの学校に通うごく普通の高校2年生だ。
学年が上がって2週間。
新しいクラスにも馴染んできた俺に事件が起きる。


「う〜む……」
事の発端は、下駄箱に入っていた1通の手紙。
『今日の放課後、校舎裏で待つ』
内容はこの一文のみ。宛名は2−C空沢、差出人不明。
文面だけなら喧嘩のお誘いにしか見えないのだが。
女の子っぽい綺麗な字と、封筒に張ってあるハートのシール。
ラブレターと取れる状況証拠も揃っている。
「行ってみるっきゃない、か……」
鞄を引っ掴んで立ち上がる。
生まれてこの方ラブレターなんぞ貰ったことが無いので、期待半分諦め半分。
もし喧嘩でも小さい頃から武道を齧ってるおかげでそれなりに自信はある。
まあ、恨まれる心当たりも無いんだけど……
色々なことを考えつつ、校舎を出て裏へ回る。


そこで、俺の見たもの。


―――舞い散る桜の中で佇む一人の少女―――


一瞬、思考が停止するほど幻想的な光景。
思わず、足を止めて息を呑む。


―――花の香りを孕んだ風が少女の髪をなびかせる―――


じっと俺を見つめる視線に引き寄せられるようにゆっくりと近付く。
喧嘩だとか告白だとか、そんな考えはとうに吹き飛んでいた。


―――春の暖かな空気を少女の声が切り裂く―――


「もう、遅いわよ」
少し高めの凛とした声に俺の脳が回転を再開し、数秒遅れて現状を認識する。
目の前に立っている少女。
制服のリボンの色から3年生だとわかる。
身長は180cmの俺と頭1つ分くらい違う。
顔立ちは平均以上。10人に聞けば8人は美少女だというだろう。
つり上がり気味の目と肩の下まであるポニーテールが特徴的だ。
「女を待たせるなんて、失礼だよ?」
「あ、その……すみません」
「ま、いいや。早速本題なんだけど」
深く澄んだ碧い瞳が俺の心を射抜く。
柔らかそうな唇が言葉を、紡ぐ。


「――――――」


「……え?」
その音は確かに耳に届いた。
数分前の俺は多分それを期待していた。
でも。一瞬意味が理解できなかった。


「何度も言わせないで。
あなたのことが好きなの。付き合って」


好き?俺が?告白?あなた?誰に?
頭の中がぐちゃぐちゃで。
俺の口をついて出たのは自分でも驚くほど素直な肯定。
「……はい。喜んで」


―――これが、俺と彼女の初めての出会いであり、
俺に恋人ができた瞬間でもある―――