魅惑-のぞみ-

2日に1本という素晴らしいペース。無理すれば日刊できるか?
まあ、明後日は絆ですけどー。


俺の名前は空沢光司。
そこそこの学校に通うごく普通の高校2年生だ。
夏休みに入って1週間。
俺は1人で砂浜に座っていた。


「……」
目の保養に来ている寂しい男ではない。
可愛い恋人―――夜舞月綾葉の着替え待ちだ。
まあ、一緒に選んだからどういう水着かは知ってるんだが、
「綾葉も結構スタイルいいからなあ」
その中身は非常に楽しみだ。
「おまたせ」
「ん……お」
声をかけられて振り向くと、そこにあったのは美しい肢体。
綾葉に見とれて声が出ないのはこれで2度目か。
くっきりと谷間のできた胸元。細くくびれた腰。
すらりと伸びた足。透き通るような白い肌。
「ね、どうかな」
綾葉のその身体に、
「よく、似合ってるよ」
そう言葉を搾り出すのが精一杯だった。
「へっへー。でしょでしょ。
ここ来るまでに4回も声かけられちゃった」
「それは……見る目のある奴らだ、と言っておくか」
誇るべきか悩むとこだな。
「でもさ、光司もいい体してるよね。武道やってるからかな」
「……そうか?」
最近は鍛錬もサボり気味だし、元々筋肉はあまりついてないはずだが。
「ムキムキって言うんじゃなくって、こう、ぐっと引き締まってる感じ」
そう言いながら二の腕を揉んでくる。
「やっぱり強いの?」
「どうだろ。一般人よりは強いと思うけど。
強さなんてのは相対的なもんだからな」
「何段、とかそういうのは?」
「一応、師範代ってことになってる」
「それって人に教えられるってことだよね。
この歳でそれなら充分強いんじゃないの」
「そう……かも、な」
同い年に免許皆伝がいることは伏せておこう。
「そんなことよりそろそろ泳ごうぜ」
「うん!今日は倒れるまで泳ぐぞー!」
はしゃぐ綾葉を追って砂浜を駆け出す。
その後、俺が隣にいるにもかかわらず綾葉をナンパする輩もいたんだが……
ま、幸いにも師範代の腕を出さなくとも退場してくれた。


―――綾葉の魅力を改めて確認した、夏の1日。