七夕-おうせ-

何か思いついたから書いてみた。
約3ヶ月ぶり。

俺の名前は空沢光司。
それなりに名の知れた大学に通う、大学一年生だ。
今日は7月7日。いわゆる七夕。
何故か夜舞月家にお呼ばれしてるわけで。


「さーさーのーはーさーらさらーっと」
「この歳で願い事書くことになるとは思わなかったな……」
見事な笹が立っている夜舞月家の庭で、短冊を渡され悩む俺。
小学生以来だよこんなの。
「ほれ。書けたぞ」
「ダメー。こういうの人に見せちゃいけないんだから、自分でつけるの」
「……ったく、しょうがねぇな」
見られて困るようなこと書いてないわ。
短冊に糸を通し、適当な箇所に結びつける。
「しっかし、1年に1回しか会えない上に願い事言われるなんてかなわんよなぁ」
「こーじー。浪漫が足りないよ浪漫が」
「願う側にロマン語られちゃ雲の上の2人も浮かばれないだろ」
「そういう問題じゃなくってさあ。
1年待ち続けられる2人の純愛に少しは想いを馳せるとかさあ」
それは願い事関係ない。
「で、綾葉は不幸な2人に何をお願いしたのかね」
「不幸とか言うのやめようよー。
叶わないと困るから光司にでも教えられないなー。
光司は?」
「人に見せるなと言いつつ聞くか。
俺のは、綾葉の眉毛が逆ハの字になりますように、だ」
「あー!つり目ネタは禁止ー!
……って、アレ?逆ハの字って……結局つり上がってるじゃんかー!!」
「冗談だよ、冗談」


―――いつも通りに過ごす、1年に1度の夜。

何だろう。大学生になってから光司君がすっかりひねくれてる。
「誰のせいよ、誰のー」
綾葉、作品の枠を飛び出してくるんじゃない。
「純真だった光司を返せー」
うぉ、笹ッ!?いた、切れる切れるッ!