うぇいくあっぷ1話

はいはい起留起留。
起留出ないけど。その割にずっとニヤニヤしながら書いてたけど。
いいんだ。うん、いいんだよ。色々。




「っつ〜・・・」
頭痛。
病気とかそんなんではなく、殴られたらしい。
らしい、というのは俺にもよくわかっていないからだ。
起留が新しい起こし方を試したとか何とか。
ったく、あの目覚まし・・・
「あの、どうかなさいましたか、お兄様?」
「ああ、ちょっとな」
心底心配そうな顔をしている彼女は竜胆寺絆。
俺のことをお兄様と呼んで慕ってくる、財閥の御令嬢だ。
「実はかくかくしかじか」
絆に、我が家の暴力目覚ましについて話す。
「まあ、それは許しがたいことですわ」
「いや、そんな大げさなことでもねーよ」
「いいえ。お兄様に暴力を振るうなど、言語道断です」
パチン、と絆が指を鳴らす。
すると、どこからともなくメイドが現れる。
今更この程度で驚く奴はこのクラスにはいない。
「お兄様のお気に召すような目覚まし時計をいくつか用意なさい」
「はい、かしこまりました」
メイドの姿が消えて再び現れたとき。
俺の机の上に目覚まし時計が5、6個出現した。
「お受け取り下さい、お兄様」
「こんな沢山はいらないんだけど」
「でしたら、好きなものをお選び下さい」
「んじゃ・・・これかな」
俺が選んだのは、デジタル表示のシンプルなもの。
とりあえず目覚ましとして使えれば何でもいい。
「ねえ、絆。アタシも1個もらっていい?」
突如、隣の席から口を挟んできたのは沢木椿。
何かあるとすぐ吐血する自称病弱美少女だ。
「ええ、構いませんわ」
「ありがと」
「礼には及びません。
お兄様の為に用意しただけですから」
「あっそ」
何でこの2人はいちいち突っかかるんだ。
「ありがとな、絆」
「はい。お兄様のお役に立てて光栄ですわ。
また何かありましたらいつでもお申し付け下さい」
優雅に会釈をして絆が自分の席へ戻る。
気付けば机の上の目覚まし時計はメイドと共に消えていた。
そして、今が授業中であることなど最早誰も気にしちゃいなかった。