Like Seasons in Summer

何だか久しぶりに誕生日おめでとう、椿
いやはや。書けてしまうものですな。
まさかのLikeSeasonsシリーズ第二弾。
山も落ちもなく短いしーずんずスタイルは書きやすい。
しかし椿ってこんなんでよかったんでしたか。
原作が今遥か遠い彼方です。旅立つ戦士とか見つめそうです。

「椿って、肌キレイだよな」
「……は?」
ぽつりと漏らした呟きに返ってきたのは、冷たくジトッとした視線。
「白いのは知ってたけど、触ると肌理の細かさがすげえ」
「……で?」
畳み掛けるように褒めてみるものの、反応は芳しくない。
「ちくしょう、太ももに頬擦りしてやる」
「あ、こら、やめなさい!」
膝枕の体勢からうりうりと頭を動かしてやると、ようやくまともなリアクション
が返ってくる。
「はぁ……何でアタシはこんなことしてるんだろ」
「俺が膝枕してやるっつったのに恥ずかしいとか言うからだろ」
「それは……!だって、ねぇ」
「ねぇ、じゃねえよ」
「……でも逆にしてあげる理由にはならないでしょ」
「ゔ……いや、だって、なぁ」
「なぁ、じゃないわよ」
「ちくしょう、太ももに頬擦り」
「やめなさいっての」
話を逸らそうとするも、頭を押さえつけられる。
急所を完全に預けたこの体勢は圧倒的に不利……ッ!
「ったく。嫌だって言ってるわけじゃないんだから、大人しくしてなさい」
「椿はツンデレだなぁ」
ツンデレ言うな。六葉茜に染めるわよ」
「顔はやめろ。あと吐血もやめろ」
言ってから、普通は吐血を止めるのが先だと思ったが、椿だからしょうがない。
「あー、その、アレだ。今日はこんな感じでいいのか」
「何が?」
「せっかくの誕生日に遠出とかしなくていいのか、と」
場所は近所の公園である。
デートと言えばデート以外の何物でもないが、安上がりにも程がある。
「この暑い中、遠出するのも不安だからね。
別に誕生日だからどうこうなんて言うつもりもないから安心しなさい」
「椿がいいならいいがね」
そりゃあ出かけた先で暑さにやられたなんて事態は避けたいし。
こうして膝枕を堪能していられる俺は問題ない。
「肌がどうのとかセクハラ発言がなければ、膝枕する方も悪くはないわ」
「セクハラじゃねぇよ。褒めたんだよ」
「あら、それはごめんあそばせ」
「……似合わねー」
「う、うるさいな」
絆の物真似だろうか。
「と、とにかく。そんなに気を遣ってもらわなくてもいいってこと」
「そか」
予想できた答えではある。
イベント事だろうと甘えてくるなんてことは皆無だからな。
お言葉に甘えてこの状況を楽しませていただこう。
「椿。キスでもするか」
「は!?嫌よ。無理。絶対ダメ」
「完全に拒絶されたのであった」
「そんな、外で、とか、恥ずかしいし」
「えー。いいじゃんか」
「い・や」
「ちくしょう、太ももに」
「だからそれはやめろ、って」


――こういう何気ない日々が、幸せってことなんだろうなぁ。