『宇宙戦艦の擬似人格』

属性としては好きですが、書くのは苦手なタイプ。
生身でらぶらぶいちゃいちゃきゃっきゃうふふできないのが痛い。
こんな感じでよろしいでしょうか。
何故か地の文を体言止めにしたせいで、読むと大分リズムが悪い。

現代科学の先端技術の粋とも言うべき宇宙戦艦。
薄暗い艦橋。中央に設えられた艦長席。
「ぶえーっくしょい!」
一人寂しく、くしゃみをする男。
「ええい、宇宙空間で空調が不調とか洒落にならんぞ、ちくしょうめ」
「不調というだけで、生命維持に影響はないのが幸いですね」
独り言のように吐き散らされた言の葉に、穏やかに返す人影。
それは、本当に影のような長髪の美女。半透明で宙に浮く立体映像。
「風邪を召される前に、部屋に戻られては?」
「そうはいかんさ。他に誰もいない以上、ここで艦を守るのは艦長の仕事だ」
「……ええ。そうおっしゃると思いました」
半ば呆れたような表情。同時に艦長席に降ってくる布。
「もふっ!?ん、おお、これはぬくい」
「艦長の体調管理も、艦載精霊の仕事ですから」
「よく気が付くパートナーを持つと幸せだね、まったく」
包まった毛布の温かさに緩んでいく頬。
「モテるだろ、やっぱり?」
「いいえ。残念ながら、殿方と知り合う機会が少ないもので」
「なーんと、もったいない。俺だったらほっとかないのに」
「今でも放っておいていないでしょうに」
上品で、たおやかな微笑。人でないがゆえに隙がない美。
元より、艦の統制のために作られた人格。性別の持つ意味は皆無。
「ま、モテない俺はお前一筋だからね」
「……エイプリル・デイライト」
「っ!」
それは、この艦の女性オペレーター。
「ルビー・イーティア」
「っ!!」
それは、医務室の新米ナース。
「シーナ・エフィール」
「っ!!!」
それは、整備班長
「……何のことでしょうか」
「あら、艦の人員の名前を確認しただけですけれど」
確かにそれは、クルーの名前。ただし、共通する属性が一つ。
「いや、うん、俺は艦長だからね。一緒に食事をすることもあるさ。
ことさらに強調することでもない、ん、じゃない、かなあ?」
「ええ、艦長がどなたと“二人きりで”お食事をしてもよろしいと思いますよ?」
「ははは……流石艦載精霊。全部お見通し、ってわけね。やきもち焼いちゃって可愛いなあ」
「いえ。所詮は擬似人格、そのような不遜なことは」
「おっとそこまで。自虐はなしだろ?触れ合うことは出来なくても、愛し合うことは出来る、ってね」
「それは失礼いたしました。触れ合うことは出来ませんが、せめて私の艦内【なか】でお休み下さい」
「ああ。愛する戦艦【ひと】に包まれる。幸せ者だな、俺は」
交わされる視線。
それは、人間同士よりもよほど濃密な愛の形。