『日本の首都ってどこなんだろうね』

こんなお題かららぶいちゃに持っていけたら、ネタがないとか嘆いたりしませんて。
この程度が限界です。もう無理です。
あぁ、また年下ヒロインで書いてしまった・・・
ちなみに、首都云々の内容は自分の知識だけで書いているのでフィクションです。実在の都市等とは一切関係ありません。
とまぁ、なんやかんやで残り二つ。
次のお題も引き続き募集中でござる。
できる限りキャラとシチュは詳しく書いてプリーズ。

「日本の首都ってどこなんだろうね?」
唐突な私の質問に、お兄さんが困った顔をする。
お兄さんと言っても、実の兄じゃない。
近所に住んでる従兄で、私の家庭教師をしてくれている。
無駄話にも決して怒ったりせず、きちんと脱線(?)してくれるのが大好きなのだ。
今日は、学校で先生が脱線気味に話していたネタを振ってみる。
こういう時のために、授業を真面目に聞くようになってしまった。
平安京が首都だって話を聞いたんだけど」
「なるほどね。間違ってはいないけれど……正解でもない」
困った顔をしながらも、ちゃんと付き合ってくれる。
予習なんて出来るはずもないのに。お兄さんは博識なのだ。
「結論から先に言ってしまおうか。明確な正解はないよ」
「ふぇ?」
「まず、首都っていうのは何なのかな」
「えーっと、政治の中心、とか」
「うん、一般的な意味ではそうなるね」
「一般的な意味“では”ってことは、他の解釈もある?」
「そのとおり」
こうやって、一つ一つ理解を確認しながら進んでくれる。
一対一だからこそできるんだろうけど、学校の授業とは納得感がダンチだ。
「さっきの、平安京――京都が首都だっていう根拠は何だろう」
平安京から移すって法律とかがないから、だっけ」
「そう、今の日本には首都を定める法律がないんだ。
遡ると、平安京まで行き着く。だから京都が首都だ、というのも一理ある」
「法律ないんだ」
「法律どころか、そもそも首都の定義がはっきりしていないんだ。
一般的な意味では、政治の中心。日本固有の事情で言えば、天皇陛下のいらっしゃる所。
平城京平安京、いわゆる“みやこ”ってやつだね」
「でも今は皇居って東京にあるんじゃ」
「でも遷都――みやこを遷すという明確な根拠はない。
長い出張中だ、と主張することもできる」
「むむ〜……難しい」
「難しくはないさ。最初に言ったとおり、正解はない。
色々な説はあっても、決定的な根拠がない。それだけだよ」
「なるほど〜。じゃあ、結局日本の首都ってどこなの?」
「一般的には東京ということで問題はないよ。
でも、京都が首都だと主張する人もいるし、それが間違いだというわけでもない」
「常識が、必ずしも正しくはない?」
「いい表現だね。無条件で信じていることを一度疑ってみるのも、見識を広めるには役に立つ。
特に社会科の分野では、一般常識で片付けられることが多いからね」
「ふむ〜」
学校の成績には結びつかないけど、こういう話がすごく楽しい。
もちろん、相手がお兄さんだからっていう要素が……はぅ。
「よし、今日はこの辺にしようか」
「あ、うん。ありがとうございました。いつも脱線しちゃってごめんね?」
「いいんだよ。守るべき予定とかもないし、興味があるならそれを大切にしたいからね」
「興味があるのはお兄さんの……」
「うん?」
「な、何でもない! 何でもないよ!」
「そう? じゃあ、またね」
「は〜い」
何とかごまかしてお見送りをして。
「あゔゔゔゔうううぅぅ」
ベッドにダイブ&悶絶。
ダメだ。絶対変な子だと思われた。
私を惑わせるあの穏やかな微笑みが悪いんだ。
「蝶子ー、ご飯よー」
「うにゃあ! 今復習してるからあと5分〜!」
こんなにほっぺたが熱いのに、部屋から出られるわけがない。
全部、お兄さんが悪いんだ。