『犬と猫』

恋愛授業の次は擬人化。宗派的に得意分野です。
お題で百合は初めてでしょうか。どちらかと言えば大好きです。
美少女がイチャイチャしている、それだけで十分ですよね。
今までの中ではそれなりに満足できる出来。サティスファクション。

「ふあーあ」
ソファの上でしなやかな肢体を弛緩させた美少女が、退屈そうな欠伸を一つ。
肩で揃えられた黒髪の頭頂部からは同じ漆黒の猫耳が飛び出し、
引き締まった腰ではやはり同色の細い尻尾が揺れている。
「相変わらず暇そうだな。暇なら一緒にボールでも追いかけないか? くんかくんか」
その腹に鼻先を突っ込んでいるのも美少女。
肩甲骨の下まで伸びる白髪の頭頂部からは同じ純白の犬耳が飛び出し、
豊満な腰ではやはり同色の太い尻尾を振っている。
「自分の尻尾でも追いかけてぐるぐるしてなさいな。
アタシは見てのとおり寝るので忙しいの。あと、くんかくんかすんな」
「そうつれないことを言うなよ。こんなにいい天気だぞ。ほら。ほらほら。ぺろぺろ」
「天気がよかろうが、真昼間から散歩に出るほど元気じゃないんだってば。
あと、ぺろぺろすんな」
「くぅん……どうしてもダメか?」
「気が済むまで寝たら相手してあげるわ。くんかくんかぺろぺろはダメ」
「わかった……待ってる」
取りつく島もなく、しょんぼりと耳と尻尾を項垂れさせ、絨毯の隅っこに横になる犬娘。
猫娘はソファの背もたれに尻尾を這わせながらその様子を見ていたが、やがて飽きたのか目を閉じる。


二十分後。
――どすん。
「きゃうん!?」
ようやくうとうとし始めた犬娘の上に、黒い何かが降ってくる。
「な、なんっ……(くんくん)何をする」
「気が向いたから構ってあげる。早くしなさい」
「い、いいのかっ!?」
がばちょ、と起き上がり、勢いよく尻尾を振り始める。
「っと。単純でいいわね、わん子」
「わん子じゃない! 私にはシロという立派な名前がだな」
「立派かどうかは悩ましいところじゃない?」
「……自分だってクロのくせに」
「あーあ、やっぱりやめて寝てようかしら」
「わふっ! 何も言ってない、私は何も言ってないぞっ!」
素直なシロと気まぐれなクロ。
正反対であるがゆえに、どこか噛み合っている。
「なら、さっさと行くわよ」
「何だかんだ言って、やっぱりお前は優しいな。くんかくんか」
「だからくんかくんかすんなっての」