家族-きずな-結城家の場合

で、3日連続。なんでやねん。
今回のは翔が出来上がった当初から考えてたキャラが登場。




俺の名前は空沢光司。
そこそこの学校に通うごく普通の高校2年生だ。
ある日、俺は板張りの床に大の字になっていた。


「はぁ……今日は、調子いいと、思ったん、だけどな」
「そのようだな。いつもより良い動きをしていた」
その隣で、やはり涼しい顔で座っているのは結城翔。俺の幼馴染だ。
「空沢もそろそろ師範か?」
「おだてんなよ……はっ、調子に乗るから」
「お前はもう少し自信を持つべきだと思うぞ。なあ、咲良」
「えぇ。空沢様は充分お強いですよ」
お茶の用意をしてくれた彼女は欅咲良。
歳は俺達の2つ下、翔の許婚で俺とも小さい頃から面識がある。
「よしてくれ……咲良まで」
「あら、私の言葉は信用できませんか?」
「そうは言わねぇけど、なっ」
勢いをつけて上半身を起こす。
「お前ら2人と長年付き合ってると自信なんかなくなるって」
俺の言葉に顔を見合わせる夫・免許皆伝(高校2年生)と妻・師範(中学3年生)。
「周りのことなど気にするな。
自信とは、他人と比較して認識するものではない」
落ち着いた口調で語りだす翔。
「自分にどれだけのことができ、どれだけのことができないのか。それを知ることだ」
「……」
相変わらず同い年であることを疑いたくなるな。
「元より周囲からの期待など不条理に高いもの。
空沢様は、他人の顔色を伺いすぎではないでしょうか」
咲良まで語り始めた。
「もう少し、自分のやりたいようになさっても良いと思いますよ」
「お前ら……20ぐらい鯖読んでるだろ。老成しすぎだっつーの」
言ってることがいちいちもっともすぎる。
「ふん、空沢が幼いだけではないのか」
「女性に向かってそのような言葉が出るようでは、まだまだ子供ですわね」
「咲良にまで子供扱いかよ」
こいつらには色々な意味で勝てねぇ。
……昔からだけど。
「もういい、休憩終わり。次こそ1本とってやる」
「その言葉、虚勢でなければ良いがな」
「翔様、空沢様。頑張って下さいませ」
「うむ。咲良に無様な姿は見せられん」
「……あー、そう」
ダメだ。
咲良が見てる限り絶対勝てねぇ。


―――結城家の日常は、かくも穏やかに過ぎていく。